病理検査部門

最終更新日 2024.3.13

部門構成

病理検査部門では、2015年にISO 15189を取得しました。現在、臨床検査技師14名全員が細胞検査士の資格を持ち、ゲノム医療に対応するため認定病理検査技師6名、初級遺伝子分析科学認定士6名、認定臨床染色体遺伝子検査師(遺伝子分野)2名、バイオバンク等病理検体の品質管理を医事するためバイオリポジトリ管理技術者2名を育成しました。2024年4月の労働安全衛生法改正に従い化学物質管理者講習受講者1名を育成しました。下記の専門資格を有するメンバーで、病理組織標本作製及び細胞診の業務を全員で分担し、日々の検査をローテーションとシフト体制で業務を遂行しています。

公益財団法人日本適合性認定協会へのリンク(国立大学法人広島大学 広島大学病院検査部・輸血部・病理診断科)


施設認定

日本病理学会認定施設

日本臨床細胞学会認定施設

日本臨床細胞学会教育認定施設


部門員の専門資格

認定団体資格人数
日本臨床細胞学会細胞検査士14
国際細胞学会国際細胞検査士7
日本臨床衛生検査技師会認定病理検査技師6
日本臨床衛生検査技師会認定臨床染色体遺伝子検査師(遺伝子分野)2
日本臨床検査同学院 二級臨床検査士(病理学)5
日本臨床検査同学院初級遺伝子分析科学認定士6
日本バイオ技術教育学会中級バイオ技術者1
日本食品安全協会健康食品管理士1
日本超音波医学会 超音波検査士(消化器)2
広島県一般毒物劇物取扱者1
広島県・島根県 特定品目毒物劇物取扱者3
広島県労働基準協会特定化学物質及び士四アルキル鉛等作業主任者7
広島県労働基準協会有機溶剤作業主任者7
日本臨床腫瘍学会 委託がんゲノム医療コーディネーター5
日本生物資源産業利用協議会バイオリポジトリ技術管理士2
日本建設情報センター化学物質管理者1

部門の特徴

精度の高い病理検査を行うために、最新の検査機器を揃えています。日本病理学会認定施設、がんゲノム拠点病院として高い核酸品質を管理するために各科診療科のご協力を得て病理検体の摘出採取時刻や固定開始時刻を記録しています。冷虚血時間や固定時間などのプレアナリシスの管理はコンパニオン診断やゲノム検査に大きく影響します。そのため品質の高いホルマリン固定パラフィン包埋材料(FFPE)を作製することを常に心がけています。コンパニオン診断においては定められた検査法を遵守し、適切な治療選択に貢献しています。標準化の推進、内部精度管理の充実、作業効率の向上、Turn Around Time(TAT)の短縮化、品質が高い標本作製を目標に検査技術の修得や開発に取り組んでいます。ISO15189の要求事項に基づくQuality Management Systemの改善にも取り組み、より安全でより良質な病理検査業務の運用を目指しています。

日本臨床細胞学会認定施設、日本臨床細胞学会教育認定施設として、精度の高い細胞診を目指しています。細胞診検査は14名の細胞検査士と1名の細胞診専門医で行なっています。 全症例のダブルチェックを行い、可能な限り組織型推定しています。 膵臓領域では消化器代謝内科との症例検討会、乳腺領域では乳腺外科と合同で術前及び術後検討会を行っており、超音波検査及び細胞診検査と組織診断との検証を行い診断精度の向上に努めています。 また、放射線診断科で実施するCTガイド下生検や気管支鏡生検及び膵臓EUS-FNAでの細胞採取に際しては、検査現場に直接出向き迅速細胞診や検体処理を行うRapid on – site evaluation(ROSE)による診療支援を行い、迅速な細胞診報告を行っています。液状細胞診材料からセルブロック標本の作製や免疫細胞化学(ICC)などの手法を積極的に取り入れ、エビデンスに基づく報告を行なっています。

当部門では、従来の特殊染色に加え、免疫組織化学的染色を毎日実施しており、その項目も年々増加しています。現在はFFPEからの核酸の品質管理、病理検体を用いた遺伝子検査の導入も視野に入れて、知識や技術の習得に加えて環境整備にも取り組んでいます。

現在行っている分子病理学的な研究や検討を紹介します。

【部門研究】

  1. 胆汁細胞診の精度向上を目的としたmicroRNAの検索
  2. 膵臓細胞診におけるFISH法を用いたKRASとCEP12の検討
  3. 子宮頸部細胞診検体におけるp21,EZH2免疫染色によるHSIL進展因子の検討
  4. 胸水腹水における悪性中皮腫の免疫細胞学的検討
  5. 乳癌および膵癌のCAF細胞の分離の検討
  6. 各種腫瘍細胞を対象とした3次元培養の条件検討

【主な機器設備】

凍結切片作製装置

  • クリオスターNX70

ティッシュプロセッサー 

  • HistoCore PELORIS 3(ライカ マイクロシステムズ株式会社)
  • エクセルシアAS(PHC株式会社)

包埋センター

  • ティシュー・テックTECプラス(サクラファインテックジャパン株式会社)
  • ティシュー・テックTEC6(サクラファインテックジャパン株式会社)

ミクロトーム

  • リトラトーム(大和光機株式会社)

自動薄切機

  • 組織切片自動作製装置AS-410M(株式会社大日本精機)

染色機

  • ティシュー・テック プリズマ プラス(サクラファインテックジャパン株式会社)
  • DAKO Omnis(アジレントテクノロジー株式会社)
  • DAKO Autostainer Link 48(アジレントテクノロジー株式会社)
  • ベンタナ ベンチマーク ULTRA PLUS(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
  • ベンタナ ベンチマーク ULTRA(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
  • ベンタナ ベンチマークSS(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)

液状細胞診塗抹装置

  • BD トータリス™ D-Cube™(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)
  • BD トータリス™ スライドプレップシステム(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)
  • Cellprep PLUS(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)

蛍光顕微鏡

  • オールインワン蛍光顕微鏡BZ-X810(株式会社キーエンス)

核酸抽出装置

  • magLEAD 12gC(プレシジョン・システム・サイエンス株式会社)

電気泳動装置

  • Agilent 4150 TapeStation システム(アジレントテクノロジー株式会社)

次世代シーケンサー

  • iSeq 100シーケンスシステム(Illumina, Inc)

以上のように最新機器を揃え標準的な病理検査技術の実践、新しい染色や検査技術の開発や工夫に取り組んでいます。細胞診鏡検技術、免疫染色、FISH検査、PCR等の短期研修も受け入れ可能です。本学病理検査部門に興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

随時、見学にも応じますので下記よりお申込みください。

診療支援部ホームページお問い合わせ先 担当:病理検査部門長 石田克成


採用と新人教育

採用募集については、診療支援部の「職員採用情報」をご確認下さい。

診療支援部病理検査部門新採用者における初期教育体制については、資格取得、学術研究を含め多段階的に技術や知識の習得に繋げるように相談しながら計画を進めます。病理検査のみならずがんゲノム医療においても役割を果たせるように遺伝子検査に関する資格取得も推奨しています。
お申し込みいただければ、随時見学は可能です。また広島大学大学院社会人枠への進学も可能です。(要面談)


機器と環境

検査室の環境と設置機器写真に示す最新機器で検査を行っています。

作業環境では、ホルムアルデヒド管理濃度(0.1ppm)とキシレン管理濃度(50ppm)を遵守出来るように局所排気装置の整備を行い、作業者の健康管理にも配慮しています。


検査実績

直近2年間の検査件数の推移と2004年以降の推移をグラフで示します。


学術活動

2023年度

【学会発表】

  • 藤田奈央.当院におけるがんゲノム遺伝子パネル検査のための病理組織検体品質管理の取り組み.第72回日本医学検査学会
  • 金子佳恵.中皮腫の体腔液細胞診 -直接塗沫法とLBC法の違い-.第64回日本臨床細胞学会総会春期大会
  • 畝原璃夢.広島大学病院における口腔細胞診と組織診断の対比-細胞異型度の評価.第37回日本臨床細胞学会中国四国連合会総会・学術集会
  • 清水智美.病理診断科におけるISO15189フレキシブルスコープ認定への対応.第37回日本臨床細胞学会中国四国連合会総会・学術集会
  • 石田克成.How to WSI(Whole Slide Imaging)~病理診断のデジタル化に向けて~「バーチャルスライドの基礎と可能性」2023年度日本臨床衛生検査技師会中四国支部医学検査学会(第56回)
  • 畝原璃夢.口腔細胞診の現状~正診率向上への第一歩.第62回日本臨床細胞学会秋期大会
  • 森 智紀.気管支鏡検査時におけるROSEの現状と課題.第62回日本臨床細胞学会秋期大会
  • 中村桃子.耳下腺腫瘍の1例.第62回日本臨床細胞学会秋期大会
  • 藤田奈央.遺伝子検査を見据えた体腔液検体処理の工夫〜磁気ビーズによる腫瘍細胞の濃縮について.第62回日本臨床細胞学会秋期大会
  • 石田克成.ゲノム医療に必要な病理ティッシュプロセッサーの開発.令和5年度 広島大学 医療現場からのニーズ発表会
  • 大上由加里.気管支擦過細胞診の1例.第48回広島県臨床細胞学会総会・学術集会
  • 神尾百香.十二指腸に発生したGangliocytic paragangliomaの1例.第48回広島県臨床細胞学会総会・学術集会

【論文】

  • 森 智紀.気管支鏡検査における迅速細胞診(ROSE)の現状と課題-アンケート調査からー.日本臨床細胞学会雑誌第63巻第2号
  • 中村桃子.扁平上皮癌成分を伴う甲状腺未分化癌の1例.広島県臨床細胞学会誌第43巻
  • 金子佳恵.右大腿皮下組織に発生した上衣腫の 1 例.広島県臨床細胞学会誌第43巻

【雑誌】

  • 石田克成.読者質問箱 病理検査技師として取得しておきたい資格は何かありますか?検査と技術 第51巻 第4号.医学書院

【講演・研修会講師】

  • 森 智紀.認定病理検査技師・二級病理検査士【病理】試験概要.広島県臨床検査技師会病理細胞部門 精度管理報告会
  • 森 智紀.呼吸器領域のROSEは必要か?.静岡県臨床細胞学会細胞従事者講習会
  • 畝原璃夢.令和4年度広島県精度管理報告【細胞】.広島県臨床検査技師会 病理細胞部門精度管理報告会
  • 石田克成.広島大学病院におけるプレアナリシス改善の取り組み.広島大学病院2023年度病理検査研修会
  • 石田克成.広島大学病院における品質向上への取り組み.がんゲノム医療拠点病院 教育セミナー2023 (第3回)​
  • 石田克成.バーチャルスライドを用いた精度管理調査の総括.2023年度日臨技精度管理調査総合報告会
  • 石田克成.広島大学病院におけるがんゲノム医療を意識した業務改善の取り組み.広臨技病理細胞部門研修会 第8回「技」
  • 石田克成.広島大学病院における​病理レポート未読既読管理体制について.一般社団法人福岡県臨床衛生検査技師会主催第20回福岡県病理細胞検査学術研修会​
  • 石田克成.精度管理を通じて学んだこと.公益社団法人愛知県臨床検査技師会主催愛臨技病理細胞研究班2月研究会​

2022年度

【学会発表】

学会発表

  • 森 智紀.気管支鏡検査におけるROSEの現状と課題.第46回広島県臨床細胞学会総会・学術集会
  • 大上由加里.気管支擦過細胞診の1例.第46回広島県臨床細胞学会総会・学術集会
  • 石田克成.教育講演2  子宮頸部細胞診におけるHSIL進展への予測因子.第63回日本臨床細胞学会総会春期大会
  • 藤田奈央.高悪性度子宮内膜間質肉腫の1例.第36回日本臨床細胞学会中国四国連合会総会・学術集会
  • 金子佳恵.パネル検査の概要・検査の流れ.第55回日本臨床検査技師会中四国支部医学検査学会
  • 石田克成.液状細胞材料を用いたFISH法の半自動化の試み.第55回日本臨床検査技師会中四国支部医学検査学会
  • 金子佳恵.右大腿部軟部組織に発生した上衣腫の細胞像.第47回広島県臨床細胞学会総会・学術集会
  • 森 智紀.胸水細胞診の1例.第47回広島県臨床細胞学会総会・学術集会
  • 中村桃子.扁平上皮化生を伴う甲状腺未分化癌の1例.第48回広島県臨床細胞学会総会・学術集会

【論文】

  • 大上由加里.気管支擦過細胞診で診断に苦慮した肺腺癌の1例.2022年3月.広島県臨床細胞学会誌42巻,47-55

【書籍・雑誌】

  • 石田克成.基礎講座 病理検査における感染対策, Medical Technology 第50巻 第5号.医歯薬出版株式会社
  • 石田克成.ホール法.染色法のすべて.医歯薬出版株式会社

【講演】

  • 畝原璃夢.自然尿細胞診の1例.第197回広島細胞診研究会
  • 中村桃子.細胞検査士1次試験対策 体腔液領域.広島県臨床検査技師会第2回 細胞検査士1次試験対策~婦人科、呼吸器、体腔液~
  • 石田克成.令和3年度日臨技精度管理報告〜病理部門〜.2022年度 第2回 病理細胞研修会〜医療安全〜
  • 畝原璃夢.「HRD検査(myChoice 診断システム)提出の実際」.2022年度 第3回 病理細胞研修会
  • 石田克成.バーチャルスライドを用いた精度管理調査.2022年度日臨技精度管理調査総合報告会

2021年度                                                                     

【学会発表】

  • 金子佳恵.ホルマリン固定に関する受付時の注意事項と冷虚血時間・ホルマリン固定時間について-本学の現状と課題- .2021年5月.第70回日本医学検査学会.福岡市(WEB)
  • 石田克成.病理レポートの未読を防ぐためのシステム構築とは -広島大学病院における現状と課題- .2021年5月.第70回日本医学検査学会.福岡市(WEB)
  • 金子佳恵.悪性中皮腫の鑑別における液状化細胞診標本とセルブロックを用いた免疫染色の異同.2021年6月.第62回日本臨床細胞学会総会春期大会.(WEB)
  • 青木知恵.腟壁に発生した無色素性悪性黒色腫の1例.2021年8月.第35回日本臨床細胞学会中国四国連合会総会・学術集会.徳島市(WEB)
  • 金子佳恵.子宮内膜病変におけるPTPRFの検討の有用性. 2021年11月.第60回日本臨床細胞学会秋期大会.米子市(WEB)
  • 清水智美.病理診断科のおけるISO15189認定取得後の継続的改善. 2021年11月.第60回日本臨床細胞学会秋期大会.米子市(WEB)
  • 森智紀.セルブロックの核酸品質の検証-本学の試み. 2021年11月.第60回日本臨床細胞学会秋期大会.米子市
  • 石田克成.ベテラン細胞検査士から新人細胞検査士へ. 2021年11月.第60回日本臨床細胞学会秋期大会.米子市
  • 石田克成.病理検査領域へのIT活用.2021年12月.2021年度(第54回) 日本臨床衛生検査技師会 中四国支部医学検査学会.岡山市(WEB)

【執筆】

  • 新原菜香.右耳下腺の分泌癌の1例.日本臨床細胞学会雑誌/ 60(6), 317-323, 2021
  • 畝原璃夢.乳腺の基底細胞腺癌の1例.2021年3月.広島県臨床細胞学会誌41巻,47-55
  • 新原菜香.子宮体癌の中腎癌の1例.2021年3月.広島県臨床細胞学会誌41巻,35-40
  • 金子佳恵.広島大学病院におけるがんゲノム医療に備えた病理品質向上の取り組みの検証と課題.広島臨床検査 第10巻p44-49,2021

【学位論文】

  • Yukari Uchihata et al.Analysis of MicroRNA in Bile Cytologic Samples Is Useful for DeCholangiocarcinomatection and Diagnosis of Extrahepatic.American Journal of Clinical Pathology, aqac015,Published: 14 February 2022

                                                    

【講演】

  • 石田克成.令和2年度日臨技精度管理報告会~病理部門~.2021年6月.病理細胞部門 精度管理報告会.
  • 金子佳恵.免疫染色の基礎.2021年,広臨技 第7回病理細胞研修会「技」
  • 石田克成.第 7 回 (基礎編)がんゲノムで変わる手術・生検検体と病理検体の取扱い 当院における病理検体の取扱と工夫.がんゲノム医療拠点病院教育セミナー2021
  • 石田克成. 令和2年度日臨技精度管理報告会~病理部門~.2021年6月.病理細胞部門 精度管理報告会.